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「直売農家の育成に向けて」の最終回として、一般市民、すなわち非農家を対象とした育成プログラムについて述べてみたい。第24号では、非農家であっても、地域の女性や退職者などの中には、農業に取り組んでみたいと考える人は多く、不足する直売農家と、直売農家になってみたい非農家の存在という2つをマッチングさせるための仕組みづくりが重要であるが、そのためには、多大な手間と時間がかかり、実現性は低く費用対効果も定かではないと書いた。

非農家を新規就農させることは、やはり容易ではない。全国の市町村やJAが、市民農業塾のような研修会を開催しているが、参加者のほとんどは趣味の園芸を学びに来ているだけで、新規就農などは、まず考えてはいないだろう。新規就農をめざす非農家は、農業大学校に入学したり、篤農家のところで修行を積むなど、他の道を歩むはずだ。しかし、もう少し簡単に、非農家を直売農家として育成する方法はないものかと誰もが考える。全国的にも事例はないし、未だ机上の空論の領域を出ていないものの、非農家を直売農家として育成するための、私はいくつかの仮説を描いている。

その実証的な取組みを、地元の生産法人・「(株)おだわら清流の郷」で開始したところであるが、描いているイメージとは程遠い状況にある。地元で有志が集まり集落営農型の生産法人を設立して、早くも4年が経過する。この法人は、農地の保全・活用を目的に、農地の借り受けによる自家耕作や農作業の受託作業を行う一方で、近年は露地野菜の栽培にも力を入れている。そして、昨年からは、小田原市の支援を受けながら、市民農家の育成事業に取り組んでいる。この事業は、農業に興味がある地域女性や中高齢者を生産法人が雇用し、農作業を実践させ、野菜づくりなどの基礎知識や栽培技術を習得させ、将来的には地域農業の担い手として育成しようというものである。しかし、市民農家の育成に向けた、次の仕組みは出来ていない状況にある。

直売農家の育成プログラムとして、ヒントになると考えているのが、市民農園の開設手法のひとつである「農園利用方式」である。「農園利用方式」とは、農地を貸し付けるのではなく、農家である開設者が農業経営の一環として農園を設置し、開設者の指導・管理のもとに、多くの非農家を対象に、レクリエーションなどの目的のため、複数段階の農作業を体験させるというものである。農園を利用する者に農地の貸し付けは行なわないため、農地法の規制の対象とはならない。「練馬方式」などと言われており、開設者は、農園利用者に栽培指導などを行い、月に1~2万円程度の利用料をとっている。

非農家を直売農家に育成する仕組みは、現在の「清流の郷」が取り組んでいる雇用方式による市民農家育成事業と、農園利用方式の市民農園事業をミックスさせるところに答えがあるのではないかと考える。例えば、農家が農園利用者に対し、3畝~1反程度など、相応の農地を割り当て、栽培計画と農家の指導に従い、農園利用者が野菜などを栽培し、出来た野菜などは農家が直売所で販売するような仕組みが出来ないものだろうか。農家は、農園利用者を雇用するのではなく、作業委託契約を結び、出来高に応じて委託料を支払うという考え方である。

この仕組みであれば、農業をもっと本格的にやってみたいと考える非農家とって、大きな参入障壁になっている農地法にも抵触しないし、非農家のやる気度に応じて栽培規模を調整できる。また、農家にも、非農家にも経済的なメリットが生まれるし、結果として、直売所への出荷品目・出荷量を増強できるものと考える。

この仕組みでは、農作業機械が必要な耕起・土壌消毒・土づくりやマルチ掛け、技術を要する育苗などの作業は農家が担い、非農家は播種・定食、防除、収穫、調製(袋詰めまで)の作業を行うなど、双方が役割を分担する方法が現実的であろう。また、種苗・肥料・農薬や生産・販売資材の購入には農家が一括して行い、必要な農機具は農家が非農家に貸し付けることも検討したい。その上で、農家が非農家に支払う作業委託料は、売上高の1/3などと定めればよい。

こうした育成システムを確立するためには、様々な課題があると考えられるが、近い将来、先ずは自ら実践してみる予定である。私は現在非農家であることから、「清流の郷」と私の間でこのシステムを導入すれば、実践されることになる。このシステムがうまくいくことが実証できれば、市に対しても働きかけ、自ら地域の方々に広く声を掛けていきたい。めざす姿は、地域住民みんなで地域の農地を保全・活用し、野菜づくりに取り組み、地域をまるごと直売農家の組織にすることだ。また、こうした地域づくりを実現することが、私の第二の人生におけるミッションであると考える。

以上、5回にわたり、直売農家の育成に向けた手法について述べてきた。それぞれの手法を推進するためには、市町村における担当者の役割が非常に重要である。なぜなら、直売農家の育成とは、担い手育成はもとより、農地の保全・活用、作物振興や特産品開発、地産地消など、取り組むための領域が多岐に渡り、行政職員でなければ出来ないことが多い。また、逆説的に言えば、こうした仕組みづくりは農政そのものであり、行政担当者のミッションであるからだ。